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『2019 Design & A.I. Report』の日本語版を制作し、2050大会に登壇しました

こんにちは、デザインマネージャーのMoQです。

4月27日、私は中国の範凌教授のご招待を受けて、中国杭州で行う若手向けの技術大会「2050大会」に登壇させていただきました。ビズリーチで日本語訳を担当させていただいている『Design & A.I. Report』の最新版『2019 Design & A.I. Report』のことや、日本の「Design & A.I.」の現状をいろいろとお話しさせていただきました。

範凌
『Design & A.I. Report』作者。ハーバード大学出身。レポートを3年連続で発表しており、「デザイン × 人工知能」の実践者。Tezignの創業者及びCEO、同済大学「デザイン&人工知能研究室」室長を務める。世界経済フォーラムにおいて「2017 Young Global Leader」に選出。

ビズリーチは今年、翻訳だけではなく、いちコントリビューターとして、日本の171名のデザイナー、20名のデザインマネージャーのアンケートを集め、レポートの作成に参加しました。日本のデザイナーの脳機比の調査結果は、下記からダウンロードできる『2019 Design & A.I. Report』でお読みください。

2019レポートのダウンロードはこちら

2018レポートの記事はこちら | 2017レポートの記事はこちら

ハイライトのご紹介

1. ムーア法則を超える無限の計算力

2012年に AlexNet が登場して以来、2019年に AlphaGo Zero が登場するまでに、計算力が30万倍になった(ムーアの法則では、18ヶ月ごと倍増する)- OpenAI

2. デザインはデジタル経済に接続する

ユーザーデータが体験を生み出すことを、体験が全く異なる2つの書店を例に紹介。例えば、たくさんの種類の本がある蔦屋書店のようなお店と、森岡書店のように1冊の本しか扱わない書店。本、家電、米などを含み、1-2万個SKUを持つライフスタイル全般を提案するブランドと、1つのSKUで「一冊一室」を主張し、他の情報が一切ないお店の事例紹介。

3. 生成対抗ネットワーク(GAN)の進展

GANが、創造においてめざましい進展を遂げています。
GANで服装 / をデザインする
GANでキャラクターをデザインする
GANで書体をデザインする
GANで動画をデザインする

4. 日本のデザイナーの脳機比

私たちは171件に及ぶ日本のデザイナーのサンプルを収集しました。そのサンプルは6つのデザイン業界と、学生〜20年以上のベテランまでのデザイン経験年数をカバーしています。人工知能を使う意向と自動化の度合いについて、日本は中国より慎重だと分かりました。日本のデザインマネージャーから様々な観点をいただきました。

5. 脳機比3.0 = 人機信頼性

機械は人間の判断を補助し、人間が結果を生み出すことに役に立ちます。同時に、データに対する人間の認識は機械が結果を生み出すことに役に立ちます。

6. レポートが本になりました

2017, 2018, 2019年版のレポートをあわせて、本として出版しました。

「2050大会」に参加しました

「2050大会」は、Alibabaグループ 技術委員会委員長 王堅博士(CTOのような存在)が主催している、若者を主軸とし、彼らが世界の先陣を切ってイノベーションや課題解決への挑戦を発信していくためのカンファレンスです。

そのカンファレンスのなかに、テクノロジー、アート、社会、産業などの分野に、様々なコンテンツが用意されています。今年のテーマは「Volunteer, Youth, Tech and Reunion」。すべての展示、会場、登壇者は若手のためにボランティアスタッフによって運営されており、非常に素晴らしい大会でした。

範先生との対談

登壇リハーサルのときに、ちょうど範先生とお話しできたので、デザイン、想像力、人工知能について質問させていただきました。一部ご紹介します。

Q.
コンピューターの計算力は、無限大に近づいています。理論上は、コミュニケーションデザインやマーケティングの観点で、製品の情報、テストユーザーのデータ、KPI、予算を入力すると、「クリエイティブ+配信+ROI」がセットになったソリューションを自動的に生成できるはずです。そうなると、マーケターやコミュニケーションデザイナーのクリエイティブな仕事はなくなりませんか?

A.
人工知能は、人類の能力と創造力を最大化するものです。1人の能力を、人工知能を通じて、100倍さらに1,000倍に拡大できる。しかし、人間の能力のインプットがないと、人工知能はアウトプットができません。だから、たとえ人工知能が非常に発達している時代になっても、人間の創造力と想像力によるインプットはやはり必須だと考えます。人工知能時代において、クリエイティブな仕事はなくなるのではなく、むしろ、自分の創意と企画を機械に対してはっきり説明して最大化することで、より価値がある仕事になるでしょう。

Q.
デザインのトレンド毎年は変わっています。人工知能が未来のデザイントレンドを予測できたら、デザイナーは失業しませんか?

A.
確かにトレンドは毎年変化していますが、人工知能が未来のトレンドを予測できても、デザイナーは失業しないでしょう。なぜなら、人間が多くの不確実性を作り出し、トレンドに影響を与えるからです。仕事の内容は変わると信じていますが、なくなりはしないでしょう。一方で、収入のための仕事がだんだん減っていき、創造のための仕事はだんだん増えていくかもしれません。

Q.
どんなタイプのクリエイションやデザインなら、人工知能に代替されないですか?

A.
多くのクリエイションとデザインは、人工知能が人に取って代わることはできないと思います。人工知能は人のように、作品に対して感情と愛を持つことができないからです。また、代替可能かは、タイプによって判断できるものではないと思います。

Q.
クリエイティブとデザインは定量化できますか?できるとしたら、今後のクリエイティブな仕事はすべて工程化可能で、審美や想像力よりも、データが大事になってくるでしょうか?

A.
デザインにはアートとしての次元と、ビジネスとしての次元があります。

アートの次元の中で、定量化をしようとするのは無駄でしょう。計算できないという意味でなく、アートの価値は文化の価値であるということです。しかし、デザインがビジネスシーンで使われると、ビジネスの結果と何らかの関連が生まれることがあります。そのビジネスの価値を定量化できると、そのビジネスシーンにおけるデザインやクリエイティブの役割・価値も同様のロジックで関連できると思います。

Q.
A.I.に代替されないデザイナーになるためにはどうしたらいいでしょうか?

A.
変化を見据えて勉強を続けていくことが、一番大事だと思います。例えば共感力やストーリーテーリング能力など、人間として一番得意な能力を発揮し、人間の魅力を最大限に出しましょう。

まとめ

今回は「2050大会」でいろんな有能者、有識者と知り合うことができ、本当に光栄でした。

範先生とデザイン人工知能を話したり、ユニリーバのデジタル化責任者Susan Ren氏にユニリーバにおける AR の活用について聞いたり、GoogleのChrome OSのUXデザイナーJason Wang氏とデジタル幸福感とデザインリーダーシップについて話したり‥‥。本当に視野が広がる経験をさせていただき、ありがたい気持ちでいっぱいです。

私はこれからも引き続き、TBDのバランスを追求し続け、「Design & A.I.」に限らず、いろんな最先端の事例や思想をどんどん収集したいと思います。そして、その知見を会社の仲間や、ブログを読んでくれているみなさんにもシェアできれば幸いです。

P.S. GoogleのUXデザイナーJason氏から、最近出版した本『Design Strategy in Sillicon Valley』をいただきました。この本の最後に載っているデザインリーダーシップのデザインVP対談が本当に素晴らしかったので、「対談を翻訳し、日本のデザイナーにも発信させてほしい」とお願いすると、Jason氏は快諾してくれただけでなく、英語の原本もすぐ私に共有してくださいました。ありがとうございました!ということで、『Design Leadership in Sillicon Valley』で学んだこともいずれ発信したいと思います。ご期待ください。