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事業に活かせる UX デザイン実践 実装編

こんにちは。求人検索エンジン「スタンバイ」のアプリデザインを担当している戸谷です。

今回は、「事業に活かせる UX デザイン実践」シリーズの最終回となる第4回をお届けします。
「事業に活かせる UX デザイン実践」シリーズでは、日本最大級の求人検索エンジン「スタンバイ」のアプリチームで取り組んでいる、UX デザインを事業成長に活用する試みについて、実際の例を交えながらお届けしています。

過去の記事については、下記よりご覧ください。

事業に活かせる UX デザイン実践 リサーチ編
事業に活かせる UX デザイン実践 ToBe 編
事業に活かせる UX デザイン実践 検証編

今回の記事では、「実装編」として、前回までの記事で決めた「UX コンセプト」を実際のプロダクトに反映した結果をお伝えします。

全体の流れ

前回までの記事と重複しますが、今回の取り組みの全体像を、改めてご紹介します。

1. 既存のビジネス戦略・方向性の確認
2. ユーザー調査、体験価値の抽出
3. 体験価値、ユーザー像のモデリング
4. UX コンセプトの設定
5. 理想の UX の視覚化
6. 評価
7. 実装

前回までは、体験価値のリサーチ(1~3)と、UX コンセプトのまとめ、それを反映したストーリーの視覚化(4, 5)を行い、それらのアイデアが仮説としてどれくらい確実そうかを検証しました(6)。

今回はいよいよ、そのアイデアを具体的なデザインとして表現し、リリースします。

前回までの仮説

前回までの取り組みで、人々が仕事を探す際のニーズやペインには様々なバリエーションがあることがわかりました。その結果を落とし込んだ UX コンセプトを仮に「ライフスタイルにあった仕事が見つかる価値」としたいと思います。実際にはもう少し色々な要素を考慮したコンセプトを定義しましたが、実際のものは事業上の都合で公開できないため、この先の説明を最低限満たすものを使用して説明を進めます。

「ライフスタイルにあった仕事が見つかる価値」という UX コンセプトをもとに、現状の UI の課題を定義し、解決策を考えました。

なお前回の記事の最後でもお話ししましたが、今回は「UI の検証」は行わずに、実際にプロダクトに反映をして、検証・改善していく方法を選択しました。これまで考えてきた UX コンセプトと、既存ユーザーの体験価値や機能アセットとの間に、乖離が少なく、現状の UI 設計やメッセージングを「整理」することで、より低コストで目的が達成されると判断をしたため、ユーザビリティテストなどによる UI の検証はリリース後の反応として観測することが、最も早く効果を得られると判断した次第です。

UX コンセプトから、UI デザインへ

今回の取り組みによって、UI デザインがこのように変化しました(2017年11月時点のもので、現在のデザインとは異なる場合があります)。


右が改修後の UI

これまでの UI デザインは、上部にフローティングした検索窓、さらにその右側に実際にユーザーがいる場所の地図をボタンとして表示していました。また、タブバーには、求人検索、保存した求人一覧、スカウトを受け取るためのプロフィール設定など様々な粒度の機能が存在していました。

改修後のデザインでは、タブバーには仕事を探す手段を集約しました。リスト検索、地図検索、おすすめの求人、スカウトなどの機能です。「ライフスタイルにあった仕事が見つかる価値」という  UX コンセプトを実現するために、それぞれのタブで異なる仕事の見つけ方を体験できるようにし、自分にフィットする探し方を見つけやすくしました。また、リスト検索と地図検索は、情報設計的にはひとつの検索結果の「ビューの切り替え」であるべきですが、今回は、情報設計の正しさよりもナビゲーションとしてのわかりやすさを優先させました。


下が改修後。仕事の見つけ方を選べる。

また、それに併せて、独自のデザインであった検索バーの UI は、デフォルトのデザインに近づけ、ここから検索条件を変更できることをわかりやすく表現しました。


下が改修後。デフォルトになるべく近い UI にし、迷いにくくした。

アプリのデザインにおいて、小さな画面のなかに、適切にナビゲーションを設計することは、最も重要といえます。しかし、これまでの設計では、スピーディーに多くの機能を追加し、進化を遂げてきた一方で、やや複雑な設計になっていたようにも思えます。

これまでに追加してきた、地図での検索やスカウトなどの、多様な仕事の探し方には、それぞれ一定の価値がある一方、今回の調査では、自分に必要なソリューションにたどり着いているユーザーが少ないこともわかりました。そこで、どれが自分にとって最適な機能であるのか、見つけてもらえるようにしたいと考え、上記のような UI に着地したのです。

UX デザインの手法を活用する取り組みを通じて

今回の改修を経て、1ユーザーあたりのセッション数は1.70倍に、セッションあたりの検索回数は3.23倍になりました。より積極的に検索条件を設定し、自分にあった仕事探しに取り組んでもらえた、と言えるのではないでしょうか。

このシリーズ第1回、「リサーチ編」で、スタンバイでは UX デザインを、「サービスが提供する体験価値を明確にするための設計手法」と捉え実践していることをお話ししました。これまで「ライフスタイルにあった仕事が見つかる価値」というコンセプトを定義し、UI デザインまで落とし込んだこの取り組みを通して、UX コンセプトが1つできると、チームでひとつの共通指針ができ、判断がブレにくくなると感じました。

今回ご紹介したように、一定の成果を収めることができましたが、まだまだ事業成長に大きなインパクトを与える成果を出せてはいないと考えています。今回の一連の活動を糧に、今後もデザインの力を信じて、事業成長により一層コミットしていきたいと思います。

これから UX デザインを実践しようとしているみなさまの、一歩を後押しする連載になりましたら、とても嬉しいです。最後までお読みいただきありがとうございました。